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12月号 「スマホ依存に注意健康を損なう悪影響を知っておきましましょう」

 

 電話、メール、日々の情報収集、買い物、ゲーム、電車に乗る、体重管理、人間関係構築ツール、仕事でのスムーズな連絡などたくさんの事がスマホ一つでできるようになり便利なアイテムとなっています。そのため多くの人が長時間スマホに触れる機会があります。
 非常に便利なスマホですが依存しすぎに注意、スマホ操作する時間が長い程、健康を著しく損なう場合がありますので、スマホの悪影響をきちんと知っておくことが大切です。スマホの使い方を見直しましょう。

 

1 スマホ猫背

 スマホを操作する際に肩が前に丸まり猫背になりやすくなります。時間が長くなると疲れて猫背になってしまうケースがあります。ずっと猫背を続けていると、スマホに触れていないときでも猫背になりかねません。『胸を開いて肩を後ろに』『両腕を後ろで組んでストレッチ』など自分の姿勢に意識を向けるようにしましょう。猫背は顔のたるみや二重顎の原因になると言われ美容にも影響があります。また肩こりも引きおこします。スマホを操作中は同じ姿勢で固まりやすいので肩回し体操などを取り入れてみてください。

 

2 目や脳にダメージ
電子機器は電磁波を発しています。スマホの画面が発するブルーライトは目への刺激が強いため、眼精疲労やドライアイの原因になります。長時間の連続使用を避けて1時間スマホを操作したら15分休憩をはさむなど、目の周りをやさしくマッサージしたり、目を閉じて何も考えない時間を作って脳をやすめましょう。

 

3 精神的依存(スマホ依存)
食事時や寝る直前や目覚めてすぐにスマホチェックしたり、いつもスマホがオンになっているなどスマホがないと強烈な不安に襲われるなどがあれば注意です。どこでも気軽に持ち運べるからこそ手放せず依存傾向に陥らないようにしましょう。


 体を動かしたり、趣味を持つ、家族や友人と過ごす時間を大切にするなどスマホを使わない時間を設けるように心がけましょう。

 

 生活に欠かせないスマートフォン、長時間使っているから依存ではなく、無目的にダラダラ触ってはまってしまうことが依存です。せっかく便利なツールですから上手に使いましょう。
スマホの使用規制をすることは難しいですが、自身の健康を守りながら付き合っていくことが大切です。


 一般社団法人 右京医師会 梅田 仁美

 

11月号 「イボ(尋常性疣贅)とみずいぼ(伝染性軟属腫)」

 

 日常皮膚診療でよく見られるイボ(尋常性疣贅)とみずいぼ(伝染性軟属腫)のお話です。
名称と形状は似ていますが治療法が異なります。

 

【 イボ(尋常性疣贅) 】

 

■原因
ヒト乳頭種ウィルスによる感染です。小さなキズが絶えずできる手足に好発します。

 

■治療
足のウラや手のヒラのイボはウオノメと似ていますが、ウオノメと異なり削っても治りません。
感染性があるので外科的切除やイボコロリでは逆に悪化させてしまうことが多いようです。治療は、冷凍療法が主体となります。潜伏期間が3~6ヶ月と長く、一見正常なヒフに長時間ひそんで出現してきますので、治療には数ヶ月以上かかることもまれではありません。必ず治る病気ですので、根気をもって治療にのぞんでください。

 

■注意
①うつるものですから、とにかくイボをいじらないことです。

②冷凍療法では、イボの部分が水泡や血マメになりますが、1~2週間でカサブタになり脱落し正常のヒフと同様になりますので驚かないでください。また水泡や血マメを破かなければ入浴はさしつかえありません。

③冷凍療法後あまり大きい水泡や血疱ができたときや、痛みが極度に強いときは、すぐ来院してください。


【 みずいぼ(伝染性軟属腫) 】

 

■原因
原因はポックスウィルスの感染で、毛包に生じます。半年~2年で免疫ができ、自然に治ってし
まいますが、感染性があるので、特にプールや保育園に行っている場合は治療を必要とします。
また、ミズイボの周囲にかゆみを生じ湿疹ができることもありますので、この場合も治療が必要でしょう。

 

■治療
治療はアトを残さぬようピンセットで摘出します。潜伏期間は1ヶ月と長く、見えない状態で潜んでいるので、1ヶ月以内の再発はあるものと考えてください。



 一般社団法人 右京医師会 鈴木 新

 

10月号 「不安と正しく向き合いながら、自分らしい生き方をする」

 

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、不安やストレスを感じておられる方も多いと思います。ストレス社会と呼ばれる現在、人は何かしらのストレスに日々曝されています。
 いわゆる文明社会は基本的にコントロール社会であるために、そんな社会の中では、失敗するまい、なんでも完全にやろうと、無理な生き方している人が少なくありません。無理を重ねれば、どこかにひずみが生じます。ひずみは心身にストレスを与え、さまざまな悩み、苦しみへとつながっていきます。対人関係の悩みや、漠然とした不安感、気分の落ち込み等、悩みの内容はいろいろですが、いずれも、おおもとには生き方の無理があるといっても過言ではありません。

 

 人が不安に思うことは、ごく自然なことだと受け入れ、その向き合い方を説く日本生まれの精神療法が近年再び注目されている森田療法です。
 西洋生まれの精神療法は、不安を生みだしている原因を探り、それを意識することを重視します。思考は感情より上位にあり、思考を働かせることによって、不安などの不快な感情はコントロールできると考えているからです。つまり、不安を病理と捉え、それを乗り越えること、又は、取り除くことを目標にします。
 一方、森田療法では、悩みの原因探しは重要視されません。その根底には、不安を感じることは自然なことであり、自然に反したとき、悩みが深まっていくのだという東洋的な考えがあるからです。不安を特別視する西洋とは異なり、東洋では心も体も自然の一部で、通じ合うものと考えます(心身一元論)。

 

 森田療法では「不安」と「欲求」は表裏一体であるいう考え方をします。人は不安や不快感など、自分のなかの受け入れがたい感情を何とか解決したいと思うわけですが、解消できるものと、できないものがあります。不安をまず取り除きたいと考えれば、常に不安に注意が向き、逆にそれに「とらわれて」しまいます。したがって、不安な気持ちを持ちながら、その背後にある本来の欲求に従って、できることから行動に踏み出してみる。そうしたことを通して、過度な不安からの解放、そして自分らしい生き方や「あるがまま」の姿勢を身につけていくことを目指していくのです。
 また、「事実唯真(ただしん)」、つまり「事実本位」が強調されています。「気分本位」から「行動本位」へと促すのです。例えば、病気を恐れる気持ち自体は自然なことであり、怖いからこそ、そこで自分は何ができるかを探っていくことが事実に即した態度だというわけです。
 こうした森田療法の悩みの捉え方が、不自然な生き方が増えているいまの時代に、改めて必要なのではないでしょうか。  


 一般社団法人 右京医師会 中西 克己

 

9月号 「腰 痛」

 

 コロナ禍に夏の猛暑、外出自粛で運動不足になった方は多いのではないでしょうか。
「これではまずい」
と急にやりなれない運動をして、腰をいためていませんか。整形外科で腰のレントゲンをとって「骨は大丈夫」と言われて湿布と痛み止めを処方されて何だかよくわからず…となっていませんか。このような腰痛、多くは筋・筋膜性腰痛症であると思われます。

 

 筋・筋膜性腰痛症とは、腰の骨や椎間板には損傷なく、筋肉や筋膜が傷ついて痛みを生じる障害です。
腰の周囲には脊柱起立筋と呼ばれる姿勢保持の筋肉があり、立っているときに背中が丸まらないようしています。脊柱起立筋の表層を広背筋・腰背筋膜が覆い、腰部の筋肉は層になって脊椎を囲んでいます。
筋肉のひとつひとつは筋膜という膜で分かれていて、これらの筋肉や筋膜が損傷しておきる腰痛を「筋・筋膜性腰痛症」といいます。

 

 急性におこったときには、重い物を持った時や体を捻った時、スポーツなどで腰の筋肉を損傷して発生します。痛みが強い場合は動くことができず、「ぎっくり腰」の状態になります。痛みのために横になったまま動けなかったり、動き始め、とくにに起き上がる時、寝返りを打つ時、座っていて立ち上がる時などに強烈な痛みが走ったりします。このようなときには、まず安静にして損傷した筋肉や筋膜が自然に回復してくるのを待ちます。消炎鎮痛剤の内服や外用は損傷部位の炎症をおさえて痛みを和らげる効果があります。傷めた筋肉を保護してコルセットなどで保護するのも一つです。運動を続けたり、痛いのにストレッチをしたりすることは急性の痛みがでたときには控えましょう。

 

 慢性的に生じている場合では、腰が重たい痛みや、痛みのため腰がまっすぐに伸びず、腰が曲ってしまうことが多いです。日常生活での不良姿勢、とくに腰が丸まって骨盤が後ろに傾き、腰の筋肉の血流が悪くなっていることが多いです。慢性的に血流障害が起こっている場合は、筋肉を伸ばすストレッチも効果的です。慢性的な筋・筋膜性腰痛は、その他にも運動不足・筋力不足や、日常生活での体のバランスの乱れや不良な姿勢、ストレスなど、さまざまな要因で生じていると考えられます。安静・薬物治療以外にも運動療法などの治療も必要な場合がありますので、整形外科でご相談ください。


 一般社団法人 右京医師会 小串 むつみ

 

8月号 「予防接種は「不要不急」ではありません。「必要至急」です!」

 

 コロナウイルス感染流行により、3月初めの一斉休校から緊急事態宣言へと進んだ中、「不要不急」の文字が色々な場面で見られるようになりました。その中で「コロナウイルスの感染が怖い(68%)」「外出自粛(80%)」により受診が控えられたこと、また「接種が遅れても問題ない(43%)」「不要不急(17%)」との考えから乳児のワクチン接種は95%から74%へ、幼児は80%から53%へと大きく減少しているとのデータ1)があります。何れの予防接種も子どもたちの健康を守るためには必要ですが、その病気の怖さと感染力からは「百日咳」と「麻疹(はしか)」が特に重要です。

 

 百日咳は激しい咳が症状の中心ですが、小さな赤ちゃんが感染すると呼吸が止まったり、痙攣して意識がなくなったりすることが少なくありません。一人が感染すると16~21人にうつすと言われています。予防接種の効果が学童期から弱まり、いまでも学童と成人を中心に東京都では年間2,000人程度の感染が確認されています2)。その中で予防接種を控えることはとても危険です。

 

 麻疹は、現在では国内由来の感染はなくなりましたので、海外からの輸入が流行の原因となっています。その感染力は激烈で、すれ違っただけでも感染すると言われています。一人が感染すると12~18人にうつります。日本国内でも年間数十名の子どもたちが亡くなっており(肺炎・脳炎)、非常に恐ろしい病気です。流行を防ぐには90%以上の人たちがワクチンを接種する必要があります。体質や病気、あるいは年齢で接種が出来ない子どもたちは、まわりの人たちが接種を受けることで守られています。

 

 その他、Hib菌の髄膜炎やロタウイルス腸炎など予防接種によりその脅威から守られる病気が多々あります。接種の推奨時期も医学的に最善の時期が設定されています。予防接種は決して「不要不急」ではありません。「必要至急」とご理解の上、かかりつけの医師にご相談され、接種をすすめて頂きたくお願いいたします。

 

1) https://www.know-vpd.jp/news.php

2) http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/pertussis/


 一般社団法人 右京医師会 松原 為人

 

7月号 「胃がんの撲滅に向けて」

 

 日本では昔から胃がんが多く、近年では大腸がんに首位の座を譲り、疾患数は第2位となりましたが、死亡数は第3位とまだまだ悩ましい疾患です。なぜ日本人に胃がんが多いかというと、ピロリ菌の感染者が多いことと、食事中の塩分量が多いことが、最も大きな要因であろうと推測されています。

 

 冷蔵庫が普及し、井戸水の使用が減少したことに伴い、昔に比べ、ピロリ菌に感染する方が減少してきており、将来的には、胃がんも減少すると考えられています。現状で胃がんがあまり減らないのは、ピロリ菌感染の多い世代が高齢化を迎えたことにあります。

 

 胃がんといっても早期には症状が出にくく、胃薬でなんとなく改善することもあるため、吐き気や体重減少などの症状が強くなってから検査を受けるのでは遅いことがあります。胃がんの治療は、早い段階で見つかれば、種類にもよりますが、お腹を切らなくても胃カメラで、癌の部分をけずり取る内視鏡治療が可能です。そのほか、傷が小さく術後の回復が早い腹腔鏡手術やロボット手術、抗がん剤治療、免疫治療など医学の発展は日進月歩です。

 

 それでも、治療の選択肢が増えたとは言っても、現時点では早期に発見して内視鏡で治療し完治することが最善です。そのためには手遅れになる前に検査を受けることが大切です。

 

 住民健診や職場健診で行なわれている無症状者に対する胃がん検診は、以前はバリウムを飲むX線検査が主流でしたが、最近では血液検査で血清ペプシノゲン値やピロリ菌に対する抗体価を測ることにより、胃がんができやすいハイリスク群を簡単に絞り込み、その方々に集中的に内視鏡検査を行うという方法もあります。この方法は、ABC検診と言われ、胃がんのリスクがもっとも少ないA群から、もっとも高いD群の4タイプに分類される検診方法で、早期の胃がんを効率的に拾い上げるという特徴があります。しかし、あくまで拾い上げの検診ですので、バリウムでは容易に発見される進行胃がんを見逃すことがあることや、リスクの少ないA群でも特殊なタイプの胃がんは発生しうることなどの問題点もあります。

 

 がん家系のある方や、ピロリ菌が陽性の方は、胃カメラまたはバリウム検査を積極的に受けることが大切です。無症状な方が胃カメラを受ける事は、まだまだハードルの高いものですが、そのような方は少しでも苦痛を減らすような、のどの反射の少ない経鼻内視鏡や不安を取り除く鎮静剤を使った方法などもありますので医師にご相談されることをお勧めいたします。

 

 日本人は胃の弱い民族であることを念頭に置いて、一人、一人が自分の胃を守るために、勇気を持って胃カメラを受け、自分の胃が健康であるか、ピロリ菌に侵されていないかを知ることです。リスクの高い胃潰瘍や胃炎ある方は、早期に病変を発見し、早期に治療を受けることで、いつか日本からピロリ菌がいなくなり、そして進行した胃がんに苦しめられる方がいない日本に変わっていくのではないでしょうか。


 一般社団法人 右京医師会 堀江 秀樹

 

6月号 「熱中症に注意しましょう」

 

 この2月から新型コロナウィルス感染症(covid-19)の世界的流行(パンデミー)が起こりいまだに解決の兆しも見えませんが、そろそろ暑い夏がやって来ます。

 

 熱中症について真夏の7~8月ぐらいは誰もが注意しますが、実は暑くなる前のこの時期にこそ危険なのです。そもそも熱中症とは、気温や運動など身体の内外の高温状態によって引き起こされる様々な異常のことを指します。高温環境下の身体は体温を一定に保つために色々な反応を示しますが、その調節機能に破錠が生じると熱中症になります。具体的には、発汗による水分と塩分の体内からの喪失・塩分バランスの異常、および体温上昇による生命維持機能の障害などです。

 

重症度からⅠ度・Ⅱ度・Ⅲ度に分けられます。
Ⅰ度 めまい・立ちくらみ・筋肉のこむら返りがある。汗が止まらない。
Ⅱ度 頭痛がする。吐き気がする。脱力感・倦怠感がある。
Ⅲ度 意識喪失、意識混濁、足・腕・腹部の筋肉の痙攣(けいれん)、高体温を呈する。まっすぐに歩けない。

 

【対応】 
Ⅰ度 涼しい場所で衣服をゆるめ足を高くして寝かせ、水分と塩分を補給すれば通常は回復します。吐き気や嘔吐などで飲水が不可能な場合は点滴を受ける必要があります。
Ⅱ度 Ⅰ度の治療に加え必ず誰かが付き添います。症状が改善しなければすぐに病院に運びましょう。
Ⅲ度 Ⅰ度・Ⅱ度の対応をしながら直ちに救急車で病院へ運びましょう。現場で体温を下げることが重要で、全身を水で濡らして風を当てる方法や、胸部・腹部・背部・顔面など毛細血管が多い部分を流水で冷やす方法が効果的です。首・腋(わき)の下・足の付け根など太い血管のある部分に氷を当てる方法が都市伝説のように語られていますが効果はあまり期待できません。

 

【予防】
何と言っても予防が一番重要です。予防の基本は、過度の体温上昇の抑制と脱水の予防の二項目です。
1) 過度の体温上昇の抑制: 暑い時には軽装にし、吸湿性や通気性の良い素材の服装にしましょう。屋外で直射日光がある場合には帽子や日傘を使用しましょう。また、暑熱環境下での体温調節機能には暑さへの馴れ(諸熱(しょねつ)馴化(じゅんか))が関係しています。暑熱馴化には数日間かかりますので、急に暑くなった時には注意が必要です。そして、暑いときには無理をしないことです。
2) 脱水の予防: 暑い時にはこまめに水分を補給しましょう。汗からは水と同時に塩分も失われますので、発汗量の多い時の水分補給には0.1~0.2%程度の食塩水が適当です。

 

【終わりに】
地球温暖化の影響のためか、気温の上昇に伴い熱中症の発生件数が増加しております。また、運動時・労働場面だけでなく日常生活での発生も見られます。暑熱環境下では、熱中症の起こる可能性を忘れないことが重要です。またcovid-19の対策でマスクを掛けることが多いですが、吸気の温度が暖かいので熱中症が起こりやすくなります。それから、睡眠不足を避ける・飲酒をほどほどにするなど自分の体調を整えることも必要です。ただでさえ医療機関にはcovid-19対策のため余裕がなくなっています。熱中症で医療機関に更なる負担をかけることは避けましょう。


 一般社団法人 右京医師会 岩田 弘滋

 

5月号 「新型コロナに漢方ができること」

 

 現代の漢方は1800年前の感染症との闘いを記した「傷寒論(ショウカンロン)」を起源としています。くすり屋さんにもある葛根湯や麻黄湯はこの時からの薬です。漢方は生体免疫機能を高めることで重症化を防いだり治したりします。漢方的な感染症に対する考え方は約2000年前の書物「黄帝内経(コウテイダイケイ)」にも示されていて病原体侵入に対抗するため予防薬を服用することと、そもそも感染源を避けることとしています。これは①予防薬で生体防御機能を高めておくことと②密閉・密集・密接の三密を避けて手洗いを励行することに他なりません。

 

 ①に関して日本では予防投与は認められていませんから生体免疫機能を高めるには、何においても日々の「養生」が重要です。正しい食事、適切な運動、十分な休養をとるように心がけましょう。
漢方の世界では特に「冷え」を問題視します。冷たい飲食物を避け、適切な衣服で体を温めましょう。暴飲暴食は最低です。胃腸が弱ると免疫防御機能が弱体化すると考えています。

 

 予防内服に関しては医薬品に分類されない板藍根(バンランコン)や冬虫夏草(トウチュウカソウ)、霊芝(レイシ)などの免疫力を高める生薬を入手し服用することもできます。これらが免疫力を高める作用を持つことは多数報告されています。しかし、マスクが手に入らないのと同様に入手が難しくなり、粗悪品なども出回っていますから注意が必要です。

 

 今回、中国政府は新型コロナウィルスに対する漢方治療のガイドラインを示しました。その中で「清肺排毒湯」を開発し、積極的に使うように主導してきました。そして新型コロナウィルス治療に優れた効果をもつことを示しています。これは日本では保険適応になっていませんし、世界的な検証もなされてはいません。ですから、現代医学において重症化した方への治療は西洋医学を中心にするべきです。しかし、重症化を防ぐ一助に漢方もなりえることを示唆しています。


 一般社団法人 右京医師会 福岡 正平

 

4月号 「妊婦健診と母子手帳」

 

 産科医をやってきて前から思うことは、母子手帳は赤ちゃんとお母さんの健康を記録するものであるけれど、そこには大切な情報(家系)が詰まっているんだよと健診中にお母さん方にそう答えています。妊娠中に高血圧を認めたとき、ご両親が高血圧があるかどうか聞く。両親ともに高血圧である場合には、その子供が高血圧になる確率はおよそ50~60%。一方、両親のうちいずれかの親が高血圧だった場合にはおよそ約25~35%ほど、両親とも高血圧ではない人の場合には、10%に満たない数値だと言われています。特に妊娠中に高血圧を認めたときは、将来生活習慣病としての高血圧になる可能性もあるのです。

 

 糖尿病においても両親とも糖尿病だと、その子どもが65歳までに発症する確率は40~50%程度になります。これは一般的な集団と比較しても高い確率です。高血圧、糖尿病だけでなく、例えば、歯並びなどはほぼ100%、動脈硬化、アトピー、脳梗塞、クモ膜下出血など、実に受け継がれる疾患は数多いのです。

 

 妊婦健診でこのように指摘されたとき、もちろん慎重に精査治療していかなければいけませんが、出産後も将来お母さんが成人病として発症しないように今からでも生活習慣に注意し予防できることを伝えていかなければいけないと考えています。
いつも行っている健診の中で血圧測定、尿検査、体重測定にはそんな意味があり、そういった気持ちで健診を受けていただきたいのです。

 

 母子健康手帳の原形は、昭和17年から交付されてきました。その母子手帳がいずれペーパーレス化されうる時代がやって来るのかなと思うとなんだか複雑な気持ちになります。
「親から子、そして子から孫へ  未来の世代のために!」


 一般社団法人 右京医師会 柏木 智博

 

3月号 「お酒と上手に付き合おう」

 

 桜の開花が待ち遠しいこの時期、歓送迎会などで飲酒の機会が増えるといった方も多いかと思います。お酒を飲む場合、よく言われるのが「適量」。わかっていてもついつい・・・なんて、いう方も多いのでは?

 

 お酒をいくら飲んでも顔色ひとつ変えない人もいれば、ビールを一口飲んだだけで真っ赤になり、酔ってしまう人もいます。「お酒に強い」「お酒に弱い」というのは、アルコール分解酵素の働きの強いか、弱いかによります。アルコールの代謝は、非常に個人差がありますが、一般的には体重60㎏男性の場合、1時間に約7gのアルコールを分解処理できると言われています。翌日までに肝臓を休めることを考えると、1日平均で20gの純アルコールの摂取が適量とされています。
厚生労働省が挙げる目安は日本酒で1合(180ml)、ビールなら中瓶1本(500ml)、焼酎は0.6合(60ml)、ワインは1.5杯(180ml)に相当します。

 

 イベント満載のシーズン。お酒は、適度に飲めば、ストレス解消やリラックス効果をもたらしてくれます。一方、飲みすぎは肝臓の負担となり、食道癌のリスクを上げるとも言われています。
適量を守り、おつまみの食べ過ぎにも気を付けましょう。そして1週間に2日は休肝日を持ちましょう。

 

 一般社団法人 右京医師会 元好 朋子

 

2月号 「自宅でできる!鼻水対処法」


「風邪でもないのに無色透明の鼻水が出る(くしゃみや鼻づまりはない)。特に朝方や食事中にひどい。」といった症状でお困りのご高齢の方、それは加齢性鼻炎が考えられます。採血などでハウスダストや花粉といった原因が特定できるアレルギー性鼻炎とは発症機序が異なります。個人差はありますが、60歳以上になると加齢により鼻粘膜は委縮し始めます。これにより鼻粘膜の加温機能が低下し、鼻水が出ると考えられています。アレルギーではないため、アレルギー性鼻炎の治療薬は有効ではありません。鼻粘膜の温度低下を防ぐケアが対処法となります。

 

・39~40℃に温めた生理食塩水による鼻洗浄を1日2~3回行う
・足湯
・マスクを着用する

 

 これらの方法により鼻粘膜の温度を上げ、症状を軽快させると考えられています。

加齢性鼻炎でお困りの方、一度ご自宅でこれらのケアをされてはいかがでしょうか。

 

 一般社団法人 右京医師会 堀 祥子

 

1月号 「TOKYO2020とアンチ・ドーピング」

 

 今年は東京2020大会の開催年とスポーツの話題に事欠かないと思われますが、昨今スポーツにおけるフェアやスポーツの価値としてドーピングの話題があがることがあります。

 

 ドーピングとは、スポーツ選手が意図的であるかどうかに関係なく、競技能力を高めるために薬物などを使用したり、逆にその使用を隠蔽したりするために薬物を使用したりすることとされています。ドーピング禁止物質は劇薬も含む医療現場で使用される薬品が多いことから、時に選手の健康に影響を及ぼす可能性があるため、禁止表国際基準は国際オリンピック委員会から独立した世界アンチ・ドーピング機構より毎年改定されています。

 

 注意すべきは、風邪薬や漢方薬、サプリメントにも禁止物質が含まれていることもある点です。アスリートの方で医療機関を受診する際は、医師に自分が競技選手であることを伝え、処方薬に禁止物質が含まれていないか確認を取りましょう。また市販薬を含め使用する薬の情報を知りたい場合は、日本アンチ・ドーピング機構の公認スポーツファーマシストもしくは薬剤師会アンチ・ドーピングホットラインで禁止物質が含まれていないことを確認してから使用するなどの慎重な配慮が薦められます。

 

 アンチ・ドーピングはトップアスリートだけの問題でなく、趣味でスポーツをする人、スポーツをみる人、ささえる人など、スポーツに携わる多様な人々がアンチ・ドーピングを知り、その活動に参加することで、目的である「スポーツにおけるフェア、スポーツの価値を守る」ことが実現できるのでないかと考えます。

 

 TOKYO2020、一人ひとりが心から楽しめる大会となりますように。

 

 一般社団法人 右京医師会 羽森 貫