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12月号 「『孤独』は万病のもと?」


 近年『孤独』がうつ病や心臓病や認知症などを含む精神的・肉体的な病気のリスクを高めるということを聞きます。海外では「孤独は1日15本のタバコに匹敵するほど危険」、「社会的なつながりを持つ人は、持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下する」など、健康への負の影響を示す研究結果があるそうです。
地域に住む人たちがお互いに信頼し合っていたり、多くの人が安心感を抱いていたりする、人と人との間にある関係のことを、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)というそうです。お金(金融資本)、住んでいる土地(物的資本)、自分の能力や健康(人的資本)とならんで、その人がその人らしく生き、生産的な活動をしていく上で必要な「資本」のひとつといわれています。わかりやすく言えば、ソーシャルキャピタルとは、地域のつながりなどから生み出される「住民の力」や「地域の底力」「ネットワークの力」などと言われているものです。孤立しやすい社会の中でソーシャルキャピタルを豊かにしていくことが孤立・孤独を防いでいく一つの方法と言われています。
WHOの定義では健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいうそうです。つまり、健康というのは、医療で治療の対象にしている分野だけではなく、社会的になんらかの参加や関係が保たれてこそ『健康』と言えるわけです。高齢者の趣味の会への参加割合とうつ状態、スポーツ組織への参加割合と転倒割合、要介護認定率と趣味の会への参加割合に相関関係があるという研究結果もあります。(近藤克則著『健康格差社会の処方箋』参考)
要介護状態になる前から地域の趣味やスポーツの会、ボランティアなど社会的なつながりを多くもったほうが介護予防につながるということです。お金をあまりかけないでできる身近な健康法と言えると思います。 
要介護状態になっても、私たち介護支援専門員も関わらせてもらいディサービスなど介護保険のサービスをご利用いただくことで、『孤独』『ひとりぼっち』を防ぎ「つながり」が増え、より良い生活の一助となれば幸いと思います。
介護保険のご相談は居宅介護支援事業所右京医師会へお気軽にご相談ください。

 

居宅介護支援事業所右京医師会
ケアマネジャー 若森 佐千子

11月号 「旅行後の発熱に要注意」


 秋とはいえ日中はまだ暑かったある日、咳や鼻水、のどの痛みなど風邪の症状はないのに38~40℃の高熱が数日続き、激しい頭痛や関節痛、筋肉痛のため内科を受診されました。この季節ですからインフルエンザも疑い検査をしたのですが陰性、しかしよくよく話を聞くと先週まで東南アジアに出張に行っていたとのこと。専門病院に紹介したところ迅速検査でデング熱と診断されました。

 

 デング熱は流行地である東南アジアのネッタイシマカに刺されてうつります。日本でもやぶ蚊と呼ばれるヒトスジシマカが媒介することもあり2014年代々木公園周辺での集団発生が記憶に新しいところです。感染後3~7日の潜伏期間を経て、高熱のほか、頭痛、骨筋肉関節痛、嘔気・嘔吐などの症状が見られれば、デング熱の可能性もあります。通常3~5日で熱が下がり、解熱とともに発疹が現れることが多いようです。しかしデング熱患者の一部は、まれに重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがあり注意が必要です。

 

 今年はフィリピンを中心に東南アジアでデング熱が流行しており外務省のホームページでも注意を促しています。

 

 国内で決して流行っている病気とは言えませんが、海外渡航が容易になった昨今、蚊の生息する時期が長くなり、海外旅行中や帰国後に高熱が出て節々が痛くなったり、熱や痛みが治まっても発疹が出てくるようなら、早めに医療機関を受診してください。

 

一般社団法人右京医師会 柏木 元実

10月号 「トイレで体からの便りを受け取りましょう。」


 トイレに行かれた後、皆さんはどうしておられるでしょうか?汚いからくさいからと
すぐに流してはおられませんか?私たちの体から出る、おしっこや便は体の調子を知らせてくれる、正に便りなのです。

 

 おしっこをして毎回観察していると変化を感じることがあるかもしれません。臭いはどうでしょうか?色はどうでしょう?尿は臭いというイメージがあるかもしれませんが、健康な人の尿の臭いはわずかしかありません。空気中に尿を放置しておくと、細菌によりアンモニア臭がするようになるのです。ですから最初から刺激臭がある時は、膀胱や尿路に細菌が繁殖して炎症を起こしている可能性があります。甘ったるい臭いがする時は糖尿病の可能性があります。排尿後に泡立っているのを見ることがあります。尿は濃くなると泡立ちます。健康な人ではしばらくすると消えてしまいますが、いつまでも消えない場合は、タンパク質が漏れ出ていたり黄疸が原因であったりすることがあります。その場合は色も非常に重要なサインとなります。健康な人の尿は痰黄色から淡黄褐色です。白濁している場合は腎臓や膀胱の炎症等が疑われ、赤褐色や茶褐色の尿は尿路の炎症の時もありますが腎臓がんや膀胱がん等に気をつけなければなりません。黄疸の時は黄褐色の泡立った尿が出て肝臓や胆道の異常が疑われます。

 

 便もよく見てみてください。便は定期的に出ていますか?日本内科学会の定義では3日以上排便ない場合は便秘と定義されています。便の状態はどうですか?理想の便とはバナナ状で、臭いはきつくなく歯磨きペーストぐらいの硬さで、いきむことなくスルッと出るものです。毎日便を観察していて便が急に細くなったり、コロコロとウサギの便のようになったら腸内細菌のバランスや腸の働きが鈍くなっている可能性がありますが、大腸がん等の他の病気の可能性もあります。よく血便は病気のサインとして皆さんに知られていますが、血便と言ってもレンガ色から赤褐色、鮮血色、黒色など様々で、消化管の出血の場所や病変の違いにより変わってきます。

 

 トイレのあとの毎日の観察してもらうことにより、変化をいち早くご自身で見つけることが出来ます。変化があった場合はどんな些細な変化でもいいですから、かかりつけの先生などに相談してみてください。健康の維持や病気の早期発見にきっと役立つはずです。

 

一般社団法人右京医師会 斎藤 隆道

9月号 「骨粗鬆症って認知症に関係するの?」

 

 近年、平均寿命はますます延びてきており、高齢化が進んできているのは皆様もご存知のことと思います。

 

 骨粗鬆症は骨密度が低下して骨折の危険性が増大する疾患です。


しかし実は単に骨折しやすいだけではなく、正常に比べ、認知症の発症の可能性(リスク)が3.58倍に増えることが報告されています。また、寝たきりになるリスクは1.83倍といわれています。厚生労働省による平成25年国民生活基礎調査によると、介護が必要になった原因のうち認知症は15.8%、骨折・転倒は11.8%、関節疾患では10.9%、高齢衰弱では13.4%になっており、合計すると脳卒中の18.5%、心疾患の4.5%に比べ圧倒的に割合は高くなっています。

 

 さらに、骨粗鬆症により脊椎(背骨)の圧迫骨折を起こすことは、「最近いつのまにか骨折」というフレーズでご存知の方も増えてきています。実はその圧迫骨折が何箇所あるかで、死亡率まで変わるという報告があります。圧迫骨折の数が増えるほど死亡率が増加し、3個以上の骨折がある方の死亡率は、骨折のない人のなんと4倍にもなるといわれています。
健康寿命をまっとうするためにも、骨粗鬆症対策を十分にとっていただければと思います。

 

一般社団法人右京医師会 池田 一博

8月号 「夏こそしっかり紫外線対策を」

 

 日本人の肌は日焼けの仕方で3つのタイプに分けられます。

 

 スキンタイプⅠでは紫外線を浴びると赤くなりやすいですがあとで黒くなりにくく、スキンタイプⅢではあまり赤くなりませんがあとで黒くなりやすいのが特徴です。スキンタイプⅡは1番多いタイプでⅠとⅢの中間です。

 

 皮膚で作られるメラニンはシミの原因として敬遠される面もありますが、紫外線から防御するとう有益な面もあります。色白のお肌のかたはおよそスキンタイプⅠに分類され紫外線による細胞内のDNAへのダメージが強くなり、ひいては皮膚癌のリスクも高くなります。スキンタイプⅢではニキビやケガ、虫刺されたあとに紫外線があたるとシミになりやすいといわれています。紫外線対策には日焼け止めを使用することが重要ですが、汗などで流れ落ちたりするため、2~3時間ごとには塗り直しましょう。また、顔や手の甲だけでなく耳のうしろやうなじにも忘れずに塗るようにしましょう。

 

一般社団法人右京医師会 今井 慎

7月号 咳がとまらない

 

 医療機関へ受診する症状の1つとして頻度が高いのが、咳〔医学的には咳嗽(がいそう)〕ですが、普段の診療においても、総合感冒薬や鎮咳薬を服用したが、「咳がとまらない」として受診される患者様は少なくありません。一般的には細菌やウィルス等の感染性咳嗽として、抗菌薬の追加や感冒薬等の継続で対症療法しますが、それ以外にも「咳がとまらない」原因疾患があります。

 

 副鼻腔炎による後鼻痛、咳喘息、胃食道逆流症、慢性閉塞性肺疾患等は、各々に夜間に多い、季節性、消化器症状、喫煙歴等、多少の特徴はあるものの、症状の個人差があるため、問診と病歴聴取と身体所見はとても重要になります。その上で上記疾患が疑われる場合には、診断的治療(例えば、咳喘息には気管支拡張薬の投与、胃食道逆流症には制酸薬の投与等)を行います。

 

 このように一般的な感冒薬や鎮咳薬でも「咳がとまらない」場合には、別の治療薬が必要な上記疾患も念頭に入れ、近隣の医療機関へご相談下さい。

 

一般社団法人右京医師会 亀井 滋

6月号 その数字、いくら下げたら、どんだけ違うの?

 

 タバコを吸っていると、あるいは血糖、血圧やコレステロールが高いと、体によくないのは有名です。では、タバコをやめたり、血圧や血液検査の値が下がったりすると、どれほどいいことがあるのか?よく分かりませんよね。

 

 例えば血圧を140から130に、あるいは120に下げるとどれほど良いことがあるのかと言われると、医療関係者でもほとんどの人は答えられないと思います。私もわかりません。人間の頭だけでリスクを数字で見積もるのは難しいです。

 

そこで、これ。
国立がん研究センター 循環器疾患リスクチェック
 https://epi.ncc.go.jp/riskcheck/circulatory/

 

 項目を選択したり数字を入れたりすると、今後10年の脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが何%くらいか、過去のデータからの予測が出ます。40歳から69歳までしか対応していないので、それ以外の方は近い数字で代用してください。

 

 これの面白いのは、最後に「リスク軽減シミュレータ」というのが付いているところ。タバコをやめると、あるいは血糖、血圧、コレステロールが変化すると、どうリスクが上がったり下がったりするのか、棒グラフと数字が移動して、変化が視覚的にわかります。

 

 健診で引っかかった項目や、お医者さんに「下げたほうがいい」と言われている値をいじってみてください。

「結構かわるな」
「たいして変わらんやん」

 

感想は人それぞれだと思いますが、「こんなに変わるんやったら何かした方がいいわ」
と思ったら、是非ご相談ください。

 

注: タバコは脳卒中や心筋梗塞だけではなく、喉咽頭癌や肺癌などのリスクも大きいです。一日でも早くやめましょう。

 

 

一般社団法人右京医師会 田代 雅裕

5月号 新しく「令和」になってからの健康管理

 

 京都では、街に外国人の観光客で溢れています。新しく「令和」になってからは、日本ではオリンピック、パラリンピック、ラグビーのワールドカップ等、種々の催しが企画され、より多くの外国の方々が世界から来日されることになります。そこで、気を付けなければならないのは、今後、日本ではなかった病気、特に感染症が持ち込まれる事が予想されます。日本では既に制圧されていた病気や新しい病気が、人と一緒に運ばれてきたウィルスや細菌により流行する恐れがある訳です。
 これらを予防し、罹患しないようにするにはどうすれば効果的でしょうか?その為には、小児、成人を問わず予防接種を受けておくことが一番と考えられます。ラジオ、ニュース、新聞、インターネット、スマホ等から、早くに情報をキャッチし、予定出来るワクチンは受けているかどうかをもう一度チェックする事が大切なのではないでしょうか!「令和」に入って、今一度受けなければいけないワクチンが接種されているかどうかを調べ、罹患する前に予防しましょう。

 

 

一般社団法人右京医師会 竹内 宏一

4月号 うつ病の治療は抗うつ薬だけでしょうか?

 

 うつ病は抗うつ薬を服用するだけでは治りませんし、抗うつ薬を服用しなくても治ることがあります。新薬を発売する前の臨床試験では、抗うつ薬と偽薬(本物の薬に似せた、薬効成分を含まない薬)の効果を比較しますが、抗うつ薬よりは効果は劣るものの、偽薬を服用してもかなりの改善が見込めます。
うつ病は自然に改善・回復する性質のある病気ですので、うつ病がどのような病気かについて説明を受け、治ることを理解し、休養をとり、ストレスを受けないようにすることがうつ病の治療、回復のために非常に重要です。
例えば、何も病気について説明をうけないで、過労を続けた状態では、抗うつ薬の効果も期待できません。治療初期は休養が第一ですが、ある程度回復してきましたら、運動、好きな事をするなどの軽作業、人と会う、家事をする、などの回復のための練習をはじめます。
睡眠リズムを整えること、飲酒を避けること、栄養バランスを考えた食事をとること、などもうつ病の治療、回復には有効と思います。
なによりも、つらいうつ病が治るものなのだと思う事は希望を与えてくれますし、患者さんご本人と家族の気を楽にしてくれます。

 

 

 

一般社団法人右京医師会 歳森 康博

3月号 鼻閉+頑固な咳

 

 耳鼻科といえば花粉症ですが、今回は花粉症とは少し違う話をいたしましょう。
「鼻づまり・鼻閉」は、花粉症をはじめとしたアレルギーのみならず、副鼻腔炎(いわゆる「ちくのう」)などでも起こります。鼻がつまると、呼吸がしにくく、集中できない、作業効率が下がる、などと言われています。
加えて問題なのは「下気道への影響」であります。
鼻閉になると、鼻呼吸ができず口呼吸となりますが、鼻という臓器は、匂い・風味を感じる感覚器であると同時に、吸った空気に適当な温度・湿度を与えて、いわば「優しい」空気にして気管・気管支に送り込むという働きがあります。これができないと冷たくて乾燥した空気が直接気管・気管支に入って下気道への負担となります。
さらに気管支喘息や肺気腫など、いわゆる慢性閉塞性肺疾患(COPD)といわれる疾患をお持ちの方が口呼吸となった場合、より負担が大きくなりますので、そのような方は、特に鼻でしっかり呼吸することが原疾患の悪化を防ぐ重要なポイントであると言えます。
耳鼻咽喉科診療をしておりますと、鼻が悪い患者様を治療すると、呼吸が楽になった、咳が出なくなったという方がよくおられます。一般の方でもいわゆる「風邪」の後の頑固な咳で耳鼻科に来られることが結構ありますが、咳喘息になっておられる方も多く、呼吸器内科と連携していくことも大変大事であろうと考えております。

 

一般社団法人右京医師会 大西 弘剛

2月号 知らないうちに進んでいる緑内障のお話し

 

~緑内障とは~
緑内障は、何らかの原因で眼の神経が障害されて視野(見える範囲)が狭くなっていく病気です。眼圧(目のかたさ)の上昇がその原因の一つと言われています。国内の疫学調査では、40歳以上の20人に1人が緑内障で、その9割がご自身では緑内障と気づいていない潜在患者さんであることがわかりました。

 

~緑内障の症状~
一般的に緑内障は自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに病状が進行していることが多々あります。眼の神経の障害は通常ゆっくりと進むことが多く、視野も少しずつ狭くなっていくため、残念ながら眼に異常を感じることはありません。最も大切なことは早期発見、早期治療です。一度障害された眼の神経をもとに回復する方法はなく、病気の進行を抑えることが治療の目標になります。
また中には急性の緑内障もあり、急激に眼圧が上昇して目の痛みや頭痛、吐き気などの症状がおこります(急性緑内障発作)。このような場合は、すみやかに治療を行い、眼圧を下げる必要があります。

 

~緑内障の検査~
①眼圧検査:専用の測定機械で計測します。緑内障の管理において重要な指標となります。
②眼底検査:光とレンズを利用して視神経の状態を観察します。緑内障で視神経が障害されている場合、視神経の陥凹(へこみ)が大きく変形します。
③視野検査:見える範囲を専用の機械(視野計)で左右別々に計測し、緑内障の進行度合いを判定します。

 

~緑内障の治療~
最も大切なことは、病気の進行を抑えるために、眼圧を低くコントロールすることです。
①薬物治療:眼圧を下げる目薬を使用します。最初は1種類から使用し、症状に応じて2~3剤を併用する場合があります。
②レーザー治療:急性の緑内障で眼圧が上昇している場合、レーザーで虹彩に穴をあけて眼圧を下げます。
③手術治療:点眼などで眼圧がコントロールできない場合、眼圧を下げる手術を行います。

 

~日常生活の注意点~

日常生活で特に気を付けることはありません。ほとんどの緑内障は自覚症状がなく、病気であることや病状が進行していることに気が付きません。緑内障を指摘されましたら、定期的に眼科での緑内障の経過観察をお勧めいたします。

 

一般社団法人右京医師会 中村 隆宏

1月号 なおせる脳卒中の後遺症

 

 いま脳卒中は日本人の死因の4位となっており、多くは命にかかわる病気ではなくなってきました。しかし、脳卒中にかかった方の数は年々増え続け、300万人を超えると推計されています。その代表的な後遺症が痙縮(けいしゅく)とよばれるマヒ状態で、大半の方は左右どちらか半身の手足がこわばる・固まるなどの症状で手が使えなくなってしまったり(廃用肢)、足先がとがってしまって、歩きにくい・膝がかたくなり歩けないなどの症状があります。街でよく見かけるのは片方の肘がまがって、膝がまがりにくくゆっくりとしか歩けない方で、この前も当院の近くの横断歩道で見かけました。

 

 脳卒中は予防が第一です。最近注目されているのが不整脈で一過性の心房細動という不整脈がみつかりにくく、また脳卒中の原因となっていることが多いことが分かってきました。 第2に脳卒中の症状かな、つまり突然に力がぬける、しびれる、モノが見にくくなるなどがあればすぐに救急車を呼んででも、救急受診することです。その後、約6か月にわたり回復期リハビリテーションをうけます。その後は維持期とよばれ、遺された機能を使うことになるのですが、実際には悪化してしまいます。このようなわけで、最初に述べたような方がたくさんいらっしゃるわけです。

 

 近年、このような脳卒中になってから何年もたつ方でも、そのマヒ(痙縮)を治療できる方法が開発されました。ボツリヌス毒素製剤をかたまった筋肉に注射した直後からリハビリをすると、動かなかった手や足が動くようになるのです。まったく手が固まった方でも、パンをもって食事ができるようになった例もあります。

 

  自分のことが自分でできるようになると患者さん自身が明るくなってきます。介護の必要も減ります。当院では、この脳卒中痙縮治療を2週間の入院で行っており、ご利用いただければ幸いです。担当は私で火曜日が初診の日になっております。

 

一般社団法人右京医師会 梶 龍兒